【モチベーションが上がる】「自己決定理論」と勉強への応用方法について簡単にわかりやすく解説!

「どうしても勉強のやる気が続かない…」そんな悩みを抱えているなら、ぜひ知ってほしいのが「自己決定理論」です。

この理論を活用することで、あなたの勉強に対する気持ちが大きく変わり、成績アップや学習効率の向上といった良い結果を手に入れることができます。

自己決定理論は、やる気を引き出す3つのカギ、「自律性」「有能感」「関係性」に注目します。自分で勉強方法や目標を選び、達成感を味わいながら進めることで、無理なく勉強が習慣化。

この記事では、『自己決定理論の内容と実験結果、すぐに試せる勉強の工夫』を中高生にもわかりやすいようにまとめました。

また、この研究や理論について知りたい人のためにも、詳しい実験内容を掲載しています。

目的にあわせて、読みたいところから読んでみてください!

 
はな
「モチベーションをあげる方法」を知り、成績が上がる勉強法を見つけましょう!

自己決定論とは?

自己決定理論(Self-Determination Theory, SDT)は、モチベーションに関する非常に深い理論で、特に「内発的動機づけ(intrinsic motivation)」を中心に扱っています。

つまり、外部からの報酬や強制による動機づけ(外発的動機づけ)ではなく、自分自身がやりたいからやる、という内から湧き上がるモチベーションを重視しています。

この理論は「人間の成長や幸福感には、自らの意志で行動することが不可欠だ」と考えています。

自己決定理論による3つの基本的欲求

自己決定理論には、特に重要な3つの基本的欲求があり、これらが満たされることで、人はやる気を持ち、成長し、より良いパフォーマンスを発揮することができます。この3つの欲求をもう少し詳しく説明します。

1. 自律性(Autonomy)

自分で選べること、自分で決められることが自律性です。たとえば、勉強やスポーツにおいて、「やらなければならない」と強制されるよりも、「これをやりたい」「これを自分で選んでやる」と感じられる方が、やる気が出やすいのです。これが自律性です。

自律性を満たすためには、以下のような工夫が有効です。

選択肢を与える

例えば、勉強において、何を学ぶか、どの方法で学ぶかを自分で選べる状況を作ることが、自律性を高めます。強制されたり、指示されたりするよりも、「自分が選んでやっている」と思うことで、勉強そのものに対するやる気が向上します。

目的意識を持つ

ただ与えられた課題をこなすのではなく、「なぜこの勉強をしているのか」という目的を自分で持つことが大切です。たとえば、将来の夢や目標と結びつけて、「この勉強が自分にとって意味がある」と感じられると、モチベーションが高まります。

2. 有能感(Competence)

有能感とは、「自分はできる」と感じることです。何かをうまくできたと感じることで、自信がつき、その活動に対するやる気がさらに高まります。勉強で言うと、問題が解けたり、テストの点数が上がったりすることが「自分は成長している」という感覚につながります。

有能感を高めるためには、次のようなポイントがあります。

適度な難易度の課題を設定する

簡単すぎる課題では成長を感じにくいですが、難しすぎる課題では挫折感を感じてしまいます。少し努力すれば達成できるような「ちょっと難しい」レベルの課題を設定すると、達成したときに「やった!」という達成感や自信が得られ、有能感が高まります。

進捗を可視化する

自分がどれだけ進歩しているかを目に見える形で確認できることも、有能感を高める方法です。例えば、勉強で言えば、問題集をこなしたページ数を記録したり、以前よりも速く解ける問題が増えたことを確認したりすると、「自分は成長している」と感じやすくなります。

3. 関係性(Relatedness)

関係性とは、他者とのつながりや支援を感じることです。人は、他者との関係を大切にし、認められたり、サポートされたりすることでやる気を高めることができます。勉強でもスポーツでも、一人で黙々とやるより、友達や家族、先生との交流があると「自分は一人じゃない」と感じ、安心して取り組むことができます。

関係性を高めるためには、次のような工夫があります。

他者と協力する

例えば、勉強では友達と一緒に勉強したり、互いに教え合うことが、関係性を深めます。こうした協力的な学習環境では、自分が他者に役立っていると感じることができ、それがモチベーションに繋がります。

フィードバックを得る

先生や親、友達からのフィードバックも重要です。特に、努力が認められたり、ポジティブなコメントをもらえると、「頑張ってよかった」と思い、さらにやる気が出ます。また、質問に答えてもらったり、理解を深めるためのサポートを受けることも、関係性の感覚を強めます。

外発的動機づけと内発的動機づけ

自己決定理論では、外からの報酬や罰による「外発的動機づけ」よりも、内から自然に湧き出る「内発的動機づけ」の方が、長続きするやる気を引き出すと考えています。

外発的動機づけ

たとえば、「テストで良い点を取ったらご褒美をあげる」といった形で、何か外からの報酬や罰が動機づけになるものです。

これも一時的には効果がありますが、報酬がなくなるとモチベーションも下がってしまう可能性があります。

内発的動機づけ

一方、内発的動機づけは、「自分が興味を持っているから」「自分でやりたいと思ったから」という、自分自身の中から来るやる気です。

たとえば、「この科目が面白いからもっと知りたい」といった形です。内発的動機づけは、長期的なやる気や持続力につながりやすいのです。

自己決定理論に関する実験

自己決定理論(SDT)に関する研究では、多くの実験が行われ、特に内発的動機づけや外発的動機づけがどのように人々の行動に影響を与えるのかが重点的に探求されています。

理論の基礎となる「自律性」「有能感」「関係性」という3つの基本的欲求が、いかにして人間のモチベーションや行動に影響を与えるのかを検証するため、さまざまな場面で実験が行われました。

1. 内発的動機づけと外的報酬に関する実験(デシのパズル実験)

最もよく知られている実験の一つは、エドワード・デシが1971年に行った内発的動機づけと外的報酬に関する実験です。

この実験では、内発的に興味を持って取り組んでいる活動に対して外的な報酬(お金など)を与えることで、その活動への内発的動機づけが損なわれる可能性があることを示しました。

具体的には、パズルを解くことが楽しいという内発的動機を持っていた参加者たちに、お金を報酬として与えると、報酬がある間はパズルを積極的に解きましたが、報酬がなくなるとパズルに対する興味が著しく低下しました。

この結果は、外的な報酬が人々の内発的な動機を奪う可能性があることを示すもので、報酬が動機づけを妨げる「過正当化効果(overjustification effect)」を明確にしました。

2. 自律性の影響に関する実験(ライアンとグロウエルの研究)

リチャード・ライアンとジェームズ・グロウエルは、自律性が内発的動機づけに与える影響を調べるための実験を行いました。

この研究では、参加者が自分で選んだタスクを行う場合と、他者から指示されたタスクを行う場合で、どのようにモチベーションが異なるかを調べました。

結果、自分で選んだタスクを行った参加者はその活動をより楽しみ、積極的に取り組む傾向が強いことが確認されました。

これに対して、指示されたタスクを行った参加者は、活動に対する興味ややる気が低下し、モチベーションの持続が困難であることがわかりました。

この実験は、自己決定理論の中核である「自律性」が内発的動機づけを高める重要な要素であることを裏付けています。

つまり、人が自分の意志で選んだ活動に対しては、より高い満足感を得やすく、やる気を持続させやすいということです。

3. 自律的環境と統制的環境における教育実験

さらに、教育の現場でも自己決定理論に基づく実験が行われました。

教師が学生に対してどのように学習をサポートすれば学生のモチベーションや成績が向上するかを探る研究です。

ある実験では、学生が自律的に学習できる環境と、統制された環境の2つのグループに分けて学習を行わせました。自律的環境に置かれた学生は、課題を自分で選び、学習方法についても自己管理ができるように設計されました。一方、統制的環境では、教師がすべての学習計画や方法を指示し、学生には選択の自由がありませんでした。

その結果、自律的環境に置かれた学生たちは、学習に対する興味が高まり、学業成績も向上したことが明らかになりました。これに対して、統制的環境にいた学生たちは、モチベーションが低下し、成績の伸びも見られなかったのです。

この実験は、教育において自律性を尊重することが、学生の学習意欲を高め、成績向上に寄与することを実証しています。

4. 有能感の影響に関する実験

また、自己決定理論の「有能感」が人々の行動にどのように影響するかを調べる実験も行われました。

この実験では、参加者に適度な難易度の課題と非常に難しい課題を与え、その後、次の課題を選ばせました。

適度に難しい課題を達成した参加者は、「自分にはできる」という有能感を持ち、次の課題にも積極的に挑戦する姿勢が見られました。

一方、非常に難しい課題で失敗した参加者は、自信を失い、次に挑戦する意欲が低下する傾向が強くなりました。

この実験からも、達成可能な目標を設定し、その成功体験を通じて有能感を高めることが、さらなる挑戦意欲を引き出すことが確認されました。

5. 関係性の影響に関する実験

最後に、関係性の影響を調べた実験も行われました。

この実験では、参加者を個別でタスクを行う条件と、他者と協力してタスクを行う条件に分けました。

特に他者からの積極的なサポートやフィードバックが与えられた場合、参加者はより高いモチベーションを維持し、結果としてより高い成果を上げることが確認されました。

この研究は、自己決定理論における「関係性」が重要な役割を果たしていることを示しており、他者とのつながりや支援を感じることで、モチベーションが強化されることが明らかになっています。

自己決定理論の勉強への応用方法

中高生にとって、勉強や部活など日々の活動にこの理論を活かすことで、モチベーションを高め、やる気を維持することができます。

1.勉強の計画を自分で立てる

先生や親が立てた計画をただこなすのではなく、自分で「この日にこれを勉強しよう」と決めることで、自律性を感じやすくなり、やる気が出やすくなります。

2.達成可能な目標を設定する

いきなり大きな目標を立てるのではなく、「今日中にこれを終わらせる」といった小さな目標を設定し、それを達成することで「自分はできる」と感じることができます。これが有能感につながり、さらなるやる気を引き出します。

3.勉強を友達とシェアする

一人で勉強するより、友達と一緒に勉強したり、分からないところを教え合うことで、関係性が深まり、勉強自体も楽しく感じやすくなります。

まとめ

今回は『自己決定理論についてと、勉強への応用方法』について紹介しました。

自己決定理論を活用することで、勉強へのアプローチを変え、やる気を引き出すことができるのは驚くべき事実です。

「自分で選ぶ」「達成感を味わう」「周りとのつながり」を意識しながら学習を進めることで、無理なくモチベーションを高められます。

自己決定理論を活かして、目標に向かって楽しく勉強を進めていきましょう!

ほかにも『勉強のモチベーションが上がる心理学』について紹介しています。

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