就活で業界研究を始めると、自動車、食品、化粧品、電機など、さまざまなメーカーを目にしますよね。
メーカーは、私たちが普段使っている商品だけでなく、商品の材料になる素材や部品、工場で使われる機械なども作っています。
そのため、同じメーカー業界でも、一般の消費者に商品を届ける企業と、ほかの企業へ素材や部品を提供する企業では、顧客や仕事内容が大きく異なります。
この記事では、メーカー業界の仕組みや10の分野、主な職種、企業を比較するときのポイントについて紹介します。
メーカー業界の全体像を知り、自分が興味を持てる商品や仕事を探してみましょう。
- 1 この記事の内容
- 2 メーカー業界とは?
- 3 製造業とメーカーの違い
- 4 素材・部品・完成品メーカーの違い
- 5 BtoBメーカーとBtoCメーカーの違い
- 6 メーカー業界の10の分野
- 7 食品・飲料メーカー
- 8 化粧品・日用品メーカー
- 9 医薬品メーカー
- 10 化学・素材メーカー
- 11 鉄鋼・金属メーカー
- 12 機械・重工メーカー
- 13 電機・電子メーカー
- 14 自動車・輸送機器メーカー
- 15 精密・医療機器メーカー
- 16 住宅・建材・設備メーカー
- 17 商品が作られて販売されるまでの流れ
- 18 メーカー業界の主な職種
- 19 文系からメーカーへ就職できる?
- 20 メーカー業界のこれから
- 21 メーカー業界に向いている人
- 22 メーカーを比較するときのポイント
- 23 メーカーの企業探しには就活サービスも活用してみよう
- 24 メーカーの企業研究で確認したい項目
- 25 メーカーの志望動機を考えるポイント
- 26 メーカー業界についてよくある質問
- 27 メーカー業界は商品が作られるまでの流れから調べよう
この記事の内容
この記事では、メーカー業界について調べるときに知っておきたい内容を、次の順番で紹介します。
- メーカー業界の基本的な仕組み
- 素材・部品・完成品メーカーの違い
- BtoBメーカーとBtoCメーカーの違い
- メーカー業界の主な10分野
- 商品が作られて販売されるまでの流れ
- メーカー業界の主な職種
- 企業を比較するときに見ておきたいポイント
今回のポイントは、メーカーを知名度や商品名だけで選ぶのではなく、何を作り、誰に届け、製品が完成するまでのどの部分を担当しているのかを見ることです。
これがわかると、普段は名前を目にしないBtoBメーカーにも目を向けられるようになり、企業選びの幅が広がります。
メーカー業界とは?
メーカーとは、素材や部品を加工し、商品や製品を作る企業のことです。
日本標準産業分類では、原材料などに物理的または化学的な変化を加え、新しい製品を製造する事業所が、主に製造業へ分類されています。
ただし、就活で使われる「メーカー」という言葉は、製品の製造だけでなく、企画、研究、設計、販売などを行う企業を含めて、幅広く使われています。
たとえば、メーカーが作っているものには、次のようなものがあります。
- 食品や飲料
- 化粧品や日用品
- 医薬品
- 自動車
- 家電製品
- パソコンやスマートフォン
- 半導体や電子部品
- 鉄鋼や化学素材
- 工場で使われる機械
- 医療機器
私たちが普段お店で購入する商品だけでなく、企業が製品を作るために使う素材、部品、設備などもメーカーによって作られています。
製造業とメーカーの違い
「製造業」と「メーカー」は、似た意味で使われることが多い言葉です。
製造業は、統計や産業分類で使われる言葉で、原材料を加工して新しい製品を作る事業を表します。
一方、メーカーは、就活やビジネスの中で使われることが多く、商品や製品の企画、開発、製造、販売に関わる企業を幅広く表しています。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 製造業 | 原材料などを加工し、新しい製品を作る産業 |
| メーカー | 商品や製品の企画・開発・製造・販売に関わる企業 |
メーカーの中には、自社の工場で製品を作る企業だけでなく、製造をほかの企業へ依頼し、企画や設計、販売を中心に行う企業もあります。
企業研究では、工場を持っているかどうかだけで判断せず、その企業が製品作りのどの部分を担当しているのかを見てみましょう。
素材・部品・完成品メーカーの違い
メーカーは、製品が完成するまでのどの段階を担当するかによって、大きく次の3つに分けられます。
- 素材メーカー
- 部品メーカー
- 完成品メーカー
素材メーカー
素材メーカーは、さまざまな製品のもとになる材料を作る企業です。
主な素材には、次のようなものがあります。
- 鉄鋼
- 非鉄金属
- ガラス
- セメント
- 化学素材
- 樹脂
- 繊維
- 紙・パルプ
素材メーカーが作った材料は、自動車、住宅、家電、食品包装、医療用品など、幅広い製品に使われます。
一般の消費者が企業名を見る機会は多くありませんが、さまざまな業界のものづくりを支えている企業です。
部品メーカー
部品メーカーは、素材を加工し、完成品を作るために必要な部品を製造する企業です。
主な部品には、次のようなものがあります。
- 自動車部品
- 半導体
- 電子部品
- モーター
- 電池
- 機械部品
- センサー
- 住宅設備部品
一つの自動車や家電製品にも、多くの企業が作った部品が使われています。
特定の技術で世界中の完成品メーカーと取引している部品メーカーもあり、企業規模や知名度だけではわからない強みを持っています。
完成品メーカー
完成品メーカーは、素材や部品を組み合わせ、最終的に利用される商品や製品を作る企業です。
主な完成品には、次のようなものがあります。
- 食品・飲料
- 化粧品・日用品
- 自動車
- 家電製品
- パソコン
- 医薬品
- 医療機器
- 産業機械
完成品メーカーは、商品名や企業名を目にする機会が多く、メーカー業界の中では比較的イメージしやすい存在です。
ただし、自社ですべての素材や部品を作っているとは限りません。素材メーカーや部品メーカー、商社、物流会社など、多くの企業と協力して商品を作っています。
BtoBメーカーとBtoCメーカーの違い
メーカーは、主な顧客によってBtoBとBtoCに分けることもできます。
BtoBメーカー
BtoBは「Business to Business」の略で、ほかの企業に素材、部品、機械などを提供するビジネスです。
BtoBメーカーが扱う主なものには、次のようなものがあります。
- 化学素材
- 鉄鋼・金属
- 半導体
- 電子部品
- 自動車部品
- 工場用の機械
- 業務用の食品
- 医療機関向けの機器
BtoBメーカーでは、一般の消費者よりも、企業の研究開発部門、設計部門、購買部門などが顧客になります。
顧客の製品作りに合わせて、素材や部品を一緒に開発することもあります。
BtoCメーカー
BtoCは「Business to Consumer」の略で、一般の消費者に商品を提供するビジネスです。
BtoCメーカーが扱う主なものには、次のようなものがあります。
- 食品・飲料
- 化粧品
- 洗剤や生活用品
- 家電製品
- 自動車
- 衣料品
- 文房具
- 家庭用医薬品
BtoCメーカーでは、消費者の好みや生活の変化を調べながら、商品の企画や改良を行います。
商品名を知っている企業だけでなく、その商品に使われる素材や部品を作るBtoBメーカーまで調べてみると、メーカー業界のつながりが見えやすくなります。
メーカー業界の10の分野
メーカー業界には多くの分野があります。
就活では、次の10分野に分けて考えると、全体像を整理しやすくなります。
| 分野 | 主に作るもの | 主な顧客 |
|---|---|---|
| 食品・飲料 | 食品、菓子、飲料、調味料など | 個人・小売・外食企業など |
| 化粧品・日用品 | 化粧品、洗剤、衛生用品、生活用品など | 個人・小売企業など |
| 医薬品 | 医療用医薬品、一般用医薬品など | 医療機関・薬局・個人など |
| 化学・素材 | 樹脂、繊維、ガラス、化学素材など | ほかのメーカー |
| 鉄鋼・金属 | 鉄鋼、アルミニウム、銅、金属製品など | 自動車・建設・機械メーカーなど |
| 機械・重工 | 産業機械、工作機械、航空機、船舶など | 企業・官公庁など |
| 電機・電子 | 家電、通信機器、半導体、電子部品など | 個人・企業 |
| 自動車・輸送機器 | 自動車、二輪車、部品、鉄道車両など | 個人・企業・交通事業者など |
| 精密・医療機器 | 計測機器、カメラ、医療機器など | 個人・企業・医療機関など |
| 住宅・建材・設備 | 住宅、建材、住宅設備、家具など | 個人・建設会社・不動産会社など |
企業によっては、複数の分野にまたがって事業を行っています。
たとえば、化学メーカーが医薬品や電子材料を作っていたり、電機メーカーが医療機器や産業機械を扱っていたりすることもあります。
企業名から想像できる事業だけでなく、売上の中心となっている分野や、今後力を入れようとしている事業も確認してみましょう。
食品・飲料メーカー
食品・飲料メーカーは、原材料を加工し、食品や飲み物を開発・製造する企業です。
スーパーやコンビニで目にする商品だけでなく、外食企業や食品メーカー向けの原料、業務用食品などを作る企業もあります。
主な商品
- 菓子
- パン・製粉
- 乳製品
- 冷凍食品
- 即席食品
- 調味料
- 清涼飲料
- 酒類
- 食肉・水産加工品
- 業務用食品・食品原料
商品開発では、味や見た目だけでなく、安全性、保存方法、原材料、製造コスト、販売価格なども考えます。
季節や健康志向、生活スタイルの変化に合わせて、新商品や新しい食べ方を提案することもあります。
企業研究で見ておきたいポイント
- どの商品分野を得意としているか
- 家庭用と業務用のどちらが中心か
- 主力ブランドや商品の売上構成
- 国内と海外のどちらに力を入れているか
- 健康、環境、食品ロスへの取り組み
- 工場や研究所の場所
化粧品・日用品メーカー
化粧品・日用品メーカーは、スキンケア、メイク用品、洗剤、衛生用品など、日々の生活で使う商品を作っています。
商品の機能だけでなく、香り、デザイン、ブランドのイメージなども大切にされる分野です。
主な商品
- スキンケア用品
- メイク用品
- ヘアケア用品
- ボディケア用品
- 洗剤
- 衛生用品
- オーラルケア用品
- 紙製品
- 家庭用品
研究開発では、成分や効果、安全性、使い心地などを確認します。
商品企画やマーケティングでは、消費者の悩みや生活の変化を調べ、商品のコンセプトや伝え方を考えます。
企業研究で見ておきたいポイント
- 化粧品と日用品のどちらが中心か
- どのようなブランドを持っているか
- 主な顧客の年代や生活スタイル
- 研究開発に力を入れている分野
- 百貨店、ドラッグストア、ECなどの販売経路
- 海外で展開している地域
医薬品メーカー
医薬品メーカーは、病気の治療や予防に使われる薬を研究・開発・製造する企業です。
医療機関で処方される医療用医薬品と、薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品などがあります。
主な商品・分野
- 医療用医薬品
- 一般用医薬品
- ワクチン
- バイオ医薬品
- 診断薬
- ジェネリック医薬品
新しい薬が利用されるまでには、研究、試験、承認申請、製造など、多くの段階があります。
研究職だけでなく、開発を進める職種、医療関係者へ情報を伝える職種、品質や安全性を管理する職種などもあります。
企業研究で見ておきたいポイント
- 医療用と一般用のどちらが中心か
- 得意とする病気や治療分野
- 新薬とジェネリック医薬品のどちらに力を入れているか
- 研究開発費や新薬候補の状況
- 海外での事業展開
- 研究所や生産拠点の場所
化学・素材メーカー
化学・素材メーカーは、さまざまな製品の材料になる化学品や素材を作る企業です。
自動車、スマートフォン、住宅、衣料品、食品包装、医療用品など、多くの製品に化学メーカーの素材が使われています。
主な製品
- 基礎化学品
- 合成樹脂
- フィルム
- 合成繊維
- 塗料・接着剤
- 電子材料
- 電池材料
- 医療・ヘルスケア材料
- 農薬・肥料
同じ会社の中でも、原料に近い製品から、高い機能を持つ電子材料や医療材料まで、幅広く扱っていることがあります。
企業向けに素材を提供するBtoB企業が多く、顧客メーカーと一緒に新しい材料を開発する仕事もあります。
企業研究で見ておきたいポイント
- 基礎素材と高機能素材のどちらに強みがあるか
- どの業界へ製品を提供しているか
- 研究開発に力を入れている分野
- 海外売上や海外生産の割合
- 環境に配慮した素材への取り組み
- 原材料価格の変化への対応
鉄鋼・金属メーカー
鉄鋼・金属メーカーは、鉄、アルミニウム、銅などの素材を作り、自動車、建物、機械、電気製品などのメーカーへ提供しています。
社会のさまざまな場所で使われる基礎的な素材を作る、ものづくりの土台となる分野です。
主な製品
- 鉄鋼
- 鋼板
- 鋼管
- アルミニウム
- 銅
- 電線
- 金属加工品
- 特殊合金
同じ金属でも、自動車向け、建設向け、電子機器向けなど、用途に合わせて必要な強さや軽さ、加工のしやすさが異なります。
顧客の希望に合わせた素材の開発や、より軽く丈夫な製品を作るための研究も行われています。
企業研究で見ておきたいポイント
- どの金属や素材を扱っているか
- 主な販売先の業界
- 国内と海外の生産拠点
- 高機能製品の割合
- リサイクルや省エネルギーへの取り組み
- 大規模な設備投資の方針
機械・重工メーカー
機械メーカーは、工場や建設現場などで使われる機械を作る企業です。
重工メーカーは、航空機、船舶、発電設備、社会インフラなど、大きな製品やプロジェクトにも関わっています。
主な製品
- 工作機械
- 産業用ロボット
- 建設機械
- 農業機械
- プラント設備
- 発電設備
- 航空機
- 船舶
- 防衛・宇宙関連機器
- 物流・搬送設備
企業向けの製品が多く、顧客の工場や事業に合わせて設計することもあります。
製品を販売した後も、保守、点検、部品交換、運用支援などを長く行うことが特徴です。
企業研究で見ておきたいポイント
- どの産業向けの機械を作っているか
- 一つの製品を量産するのか、個別に設計するのか
- 国内と海外のどちらに顧客が多いか
- 製品販売後の保守・サービス事業
- 設計や生産を行う拠点
- 脱炭素や自動化に関する事業
電機・電子メーカー
電機・電子メーカーは、家電製品、通信機器、半導体、電子部品などを作る企業です。
一般の消費者向けの商品だけでなく、工場、データセンター、自動車などで使われる製品も扱っています。
主な製品
- 家電製品
- パソコン・通信機器
- 半導体
- 電子部品
- センサー
- 電池
- モーター
- 工場用制御機器
- 映像・音響機器
- エネルギー関連機器
同じ電機メーカーでも、家電を中心とする企業、企業向けシステムに強い企業、半導体や部品を中心とする企業などがあります。
企業研究では、知っている家電製品だけでなく、法人向け事業や部品事業も確認してみましょう。
企業研究で見ておきたいポイント
- 完成品と部品のどちらが中心か
- 個人向けと企業向けの売上構成
- 得意とする技術や製品
- ソフトウェアやサービス事業の割合
- 国内と海外の生産・販売拠点
- 半導体、AI、エネルギーなどの成長分野
自動車・輸送機器メーカー
自動車・輸送機器メーカーは、自動車、二輪車、鉄道車両など、人や物を運ぶ製品を作る企業です。
完成車メーカーだけでなく、部品や素材を提供する多くのメーカーによって支えられています。
主な製品
- 乗用車
- 商用車
- 二輪車
- 自動車部品
- タイヤ
- 車載半導体・電子部品
- 電池
- 鉄道車両
- 航空機部品
自動車は、機械だけでなく、電池、半導体、ソフトウェア、通信など、多くの技術を組み合わせて作られています。
電動化や運転支援技術の広がりによって、自動車メーカーとIT・電子部品メーカーのつながりも深くなっています。
企業研究で見ておきたいポイント
- 完成車と部品のどちらを作っているか
- 得意とする車種や製品
- 国内と海外の販売・生産地域
- 電気自動車や電池への取り組み
- ソフトウェアや運転支援技術への取り組み
- 生産拠点と配属の可能性
精密・医療機器メーカー
精密・医療機器メーカーは、高い精度が求められる機器や、医療の現場で使われる製品を作っています。
光学、機械、電子、ソフトウェアなど、複数の技術を組み合わせて製品を開発する企業も多くあります。
主な製品
- カメラ・レンズ
- 計測機器
- 分析機器
- 時計
- 半導体製造装置
- 画像診断装置
- 内視鏡
- 検査機器
- 治療機器
- 医療用消耗品
医療機器では、安全性や使いやすさに加えて、医師や看護師など、実際に製品を使う人の意見を取り入れることも大切です。
研究開発だけでなく、医療関係者への製品説明や使用支援を行う仕事もあります。
企業研究で見ておきたいポイント
- 一般向けと企業・医療機関向けのどちらが中心か
- 得意とする技術や製品
- 研究開発に力を入れている分野
- 国内と海外の売上構成
- 製品導入後のサポート体制
- 技術職と営業職の仕事内容
住宅・建材・設備メーカー
住宅・建材・設備メーカーは、住宅や建物に使われる製品を作っています。
住宅そのものを設計・販売する企業だけでなく、窓、壁材、キッチン、浴室、空調設備などを作る企業もあります。
主な製品
- 戸建住宅
- 住宅用建材
- 窓・サッシ
- キッチン
- 浴室・トイレ
- 空調設備
- 照明
- 家具・インテリア
- 断熱材
- 建物用設備
個人の住まいに関わる商品だけでなく、オフィス、商業施設、ホテル、公共施設などで使われる製品もあります。
省エネルギー、快適性、デザインなどを考えながら、暮らしや建物を支える分野です。
企業研究で見ておきたいポイント
- 住宅と建材・設備のどちらが中心か
- 個人向けと法人向けの売上構成
- 販売、設計、施工をどこまで行っているか
- 省エネルギーや環境への取り組み
- 国内の営業・生産拠点
- 営業職と技術職の配属方法
商品が作られて販売されるまでの流れ
メーカーでは、一つの商品が企画されてから販売されるまでに、多くの部門が関わっています。
一般的な流れは、次のとおりです。
- 市場や顧客のニーズを調べる
- 商品や製品を企画する
- 必要な技術や材料を研究する
- 製品を設計・開発する
- 試作品を作って性能や安全性を確認する
- 生産に必要な設備や工程を整える
- 原材料や部品を調達する
- 工場で製造する
- 品質を確認する
- 商品を出荷・販売する
- 利用者の意見を次の商品開発に生かす
実際の流れは、食品、医薬品、自動車など、製品の種類によって異なります。
メーカー業界を調べるときは、完成した商品だけでなく、商品が作られるまでにどのような仕事があるのかも見てみましょう。
メーカー業界の主な職種
メーカーには、商品を研究・設計する仕事から、生産、営業、販売まで、さまざまな職種があります。
研究・開発に関わる職種
| 職種 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 基礎研究 | 将来の商品や技術につながる、新しい材料や仕組みを研究する |
| 応用研究 | 研究で得られた技術を、実際の商品や製品へ生かす方法を考える |
| 製品開発 | 市場や顧客のニーズに合わせて新しい製品を開発する |
| 設計 | 製品の形、構造、回路、機能などを具体的に設計する |
研究・開発職では、化学、機械、電気・電子、情報、農学、薬学など、大学で学んだ専門知識を生かせることがあります。
応募できる専攻が指定されている場合もあるため、採用条件を確認してみましょう。
生産に関わる職種
| 職種 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 生産技術 | 製品を安全に、効率よく作るための設備や生産方法を考える |
| 製造 | 工場で機械や設備を使い、実際に製品を作る |
| 生産管理 | 必要な製品を予定どおり作れるように、生産量や日程を管理する |
| 品質管理 | 製造中の製品を確認し、品質を安定させる |
| 品質保証 | 製品が決められた品質や安全性を満たしていることを確認する |
| 設備保全 | 工場の機械や設備を点検し、安定して動く状態を保つ |
生産に関わる職種では、研究所や本社ではなく、工場で働くこともあります。
勤務地や勤務方法も含めて、自分がどのような環境で働きたいかを考えてみましょう。
材料や製品の流れを支える職種
| 職種 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 購買・調達 | 製品作りに必要な原材料、部品、設備などを仕入れる |
| 物流 | 材料の受け入れや、完成した製品の保管・配送を管理する |
| サプライチェーン管理 | 調達、生産、在庫、出荷までの流れを全体的に整える |
購買・調達では、品質、価格、納期などを比べながら、国内外の取引先と交渉します。
製品を予定どおり作り、必要な場所へ届けるために欠かせない仕事です。
顧客や市場と関わる職種
| 職種 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 法人営業 | 企業の希望を聞き、自社の素材、部品、製品などを提案する |
| 個人向け営業 | 自動車や住宅などを一般の消費者へ提案・販売する |
| 技術営業 | 技術的な知識を使いながら、顧客に合う製品を提案する |
| 商品企画 | 市場や利用者のニーズを調べ、新しい商品のコンセプトを考える |
| マーケティング | 市場調査、販売戦略、広告などを通して商品の利用を広げる |
| 広報 | 企業や商品の情報を、メディアや消費者へ伝える |
BtoBメーカーの営業では企業の技術者や購買担当者、BtoCメーカーの営業やマーケティングでは販売店や消費者と関わります。
同じ営業職でも、企業の顧客や製品によって仕事の進め方は異なります。
会社全体を支える職種
| 職種 | 主な仕事内容 |
|---|---|
| 経営企画 | 会社全体の事業方針や経営計画を考える |
| 経理・財務 | 売上や費用を管理し、設備投資や資金計画を支える |
| 人事 | 採用、研修、配置、働く環境の整備などを行う |
| 法務・知的財産 | 契約、法律、特許、商標などを管理する |
| 情報システム | 社内システムや工場のデジタル化を支える |
メーカーにも、ほかの業界と同じように、人事、経理、法務、ITなどの職種があります。
どの業界で働きたいかとあわせて、どのような仕事を担当したいかも考えてみましょう。
文系からメーカーへ就職できる?
メーカーには、学部や学科を問わず応募できる職種も多くあります。
文系の学生が応募しやすい主な職種には、次のようなものがあります。
- 営業
- 商品企画
- マーケティング
- 購買・調達
- 物流・生産管理
- 経営企画
- 人事
- 経理・財務
- 法務
- 広報
海外の取引先が多いメーカーでは、語学力や海外への関心を生かせる仕事もあります。
一方、研究、設計、技術開発などでは、特定の専攻や研究分野が応募条件になっていることがあります。
メーカーに興味を持ったら、企業名だけでなく、募集されている職種や応募条件も確認してみましょう。
メーカー業界のこれから
メーカー業界では、新しい技術を取り入れながら、製品の作り方や事業の形を変える取り組みが進んでいます。
2026年版ものづくり白書では、AI・デジタル技術の活用や、経済安全保障を意識した中長期的な成長投資などが、製造業の競争力を高めるための重要なテーマとして取り上げられています。
AI・デジタル技術の活用
メーカーでは、研究、設計、生産、品質確認など、さまざまな場面でAIやデータが活用されています。
たとえば、次のような使い方があります。
- 製品設計の支援
- 工場の設備や生産状況の確認
- 製品の品質検査
- 機械の点検時期の予測
- 需要に合わせた生産計画
- 新しい材料や商品の開発
製造技術とITの両方に関心がある人が活躍できる仕事も広がっています。
工場の自動化・スマート化
ロボット、センサー、通信技術などを使い、工場の生産状況を確認したり、作業を自動化したりする取り組みが進んでいます。
より安全で効率的な製造方法を考える生産技術や、工場のシステムを支えるIT部門の役割も大切になっています。
環境に配慮したものづくり
メーカーでは、製品を作るときや使うときに発生する環境への影響を小さくする取り組みが行われています。
- 再生可能エネルギーの利用
- 製造時の省エネルギー
- 製品の軽量化
- リサイクルしやすい材料の開発
- 長く使える製品の設計
- 電気自動車や省エネ設備の開発
環境への配慮は、化学、自動車、住宅、電機など、多くのメーカーに共通するテーマです。
部品や原材料を安定して確保する取り組み
メーカーが製品を作り続けるためには、原材料や部品を安定して仕入れることが大切です。
そのため、仕入れ先を複数にしたり、国内外の生産拠点を見直したり、部品の在庫や物流を管理したりする取り組みが進められています。
購買・調達やサプライチェーン管理は、企業のものづくり全体を支える仕事として重要になっています。
製品販売後のサービス
製品を販売して終わるのではなく、保守、修理、データ活用、月額サービスなどを通して、顧客を長く支えるメーカーも増えています。
たとえば、機械の状態をオンラインで確認し、点検や部品交換の時期を案内するサービスなどがあります。
製品とサービスを組み合わせることで、新しい価値を提供する取り組みです。
海外市場への展開
自動車、電機、機械、化学などのメーカーには、海外で製品を販売したり、現地で生産したりする企業も多くあります。
海外営業、調達、生産管理、現地法人の支援など、海外と関わる仕事もあります。
企業研究では、海外売上の割合だけでなく、どの国や地域で、どのような事業を行っているのかも確認してみましょう。
メーカー業界に向いている人
メーカー業界には、研究、製造、営業、企画など、さまざまな仕事があります。
次のような人は、メーカーの仕事と相性がよい可能性があります。
商品や技術に興味がある人
メーカーでは、自社の商品や技術について学びながら仕事を進めます。
身近な商品がどのように作られているのか、新しい技術がどのように製品になるのかに興味がある人は、楽しみながら企業研究を進めやすいでしょう。
一つのものを協力して作り上げたい人
商品は、一人の力だけで完成するものではありません。
研究、設計、生産、営業、企画など、多くの部門が協力して作り上げます。
チームで一つの目標に向かって仕事を進めたい人にも向いています。
工夫や改善を考えることが好きな人
メーカーでは、より使いやすい商品、効率的な生産方法、品質を高める方法などを考え続けます。
今あるものを少しずつよくすることが好きな人は、その力を生かせます。
長い目で仕事に取り組みたい人
商品や技術によっては、企画から完成までに長い期間がかかります。
すぐに結果を出すだけでなく、試験や改良を重ねながら、一つのものを形にしていく仕事に興味がある人にも合っています。
人の生活や企業活動を支えたい人
メーカーが作る製品は、日々の暮らしや、ほかの企業のものづくりに使われます。
身近な商品を通して生活を豊かにしたい人も、素材や部品を通して産業を支えたい人も、それぞれ活躍できる分野があります。
メーカーを比較するときのポイント
メーカーは、同じ分野の企業でも、製品、顧客、事業の進め方が異なります。
複数の企業を調べるときは、次の項目を比べてみましょう。
何を作っている企業か
- 素材
- 部品
- 完成品
- 工場や企業で使う機械
- 製品と組み合わせるサービス
一つの企業が複数の製品を作っている場合は、売上の中心となっている製品や事業も確認します。
主な顧客は誰か
- 一般の消費者
- 小売企業
- 完成品メーカー
- 工場や事業会社
- 医療機関
- 建設会社
- 官公庁
BtoBとBtoCのどちらが中心なのかによって、営業や商品開発の進め方も変わります。
どこに強みがあるか
- 独自の素材や技術
- 特定分野での高い市場シェア
- 知名度の高いブランド
- 幅広い商品ラインナップ
- 海外での販売・生産
- 顧客に合わせた製品開発
- 販売後の保守・サービス
企業の採用サイトだけでなく、製品ページや決算資料を見ると、その企業が得意としている分野を見つけやすくなります。
自社でどこまで行っているか
- 研究
- 商品企画
- 設計
- 製造
- 販売
- 物流
- 保守・修理
同じメーカーでも、研究から販売まで自社で行う企業もあれば、一部をグループ会社や協力企業と分担する企業もあります。
国内と海外の事業
- 国内売上と海外売上の割合
- 主な販売地域
- 海外の生産拠点
- 海外営業や海外赴任の可能性
- 国内外の研究・開発拠点
海外に拠点があることと、すべての職種で海外勤務があることは同じではありません。
興味のある職種が、海外事業とどのように関わるのかまで確認してみましょう。
勤務地と配属方法
- 本社
- 営業所
- 研究所
- 工場
- 物流拠点
- 海外拠点
メーカーでは、職種によって働く場所が分かれていることがあります。
研究職は研究所、生産技術や品質管理は工場、営業や企画は本社や営業所など、希望する職種の主な勤務地を確認してみましょう。
採用コースと職種
- 事務系・技術系の区分
- 職種別採用か一括採用か
- 応募できる専攻
- 配属先の決まり方
- 職種変更や異動の制度
- 全国転勤の有無
同じ会社でも、採用コースによって応募できる職種や勤務地が異なる場合があります。
メーカーの企業探しには就活サービスも活用してみよう
メーカー業界には、テレビCMやお店でよく目にする企業だけでなく、素材や部品、産業機械を作るBtoB企業もたくさんあります。
就活サイトやスカウト型の就活サービスを活用すると、自分ではまだ知らなかったメーカーや職種を見つけやすくなります。
希望する業界や職種、勤務地などを登録しておくことで、自分の経験や専攻に興味を持った企業から案内が届くこともあります。
届いた求人やオファーを見ていると、「この素材はこんな商品に使われているんだ」「このメーカーにも企画やITの仕事があるんだ」と、新しい発見につながります。
気になる企業を見つけたら、公式サイトや採用ページも確認しながら、企業研究を進めてみてください。
就活を進めるうえで、最初にチェックしておきたいのが就活サイトやアプリです。自分に合うサービスを早めに見つけておくと、企業探しがしやすくなったり、情報収集がスムーズになったり、就活全体を気持ちよく進めやすくなります。今回は『就[…]
メーカーの企業研究で確認したい項目
メーカーを調べるときは、次の項目を企業研究ノートなどにまとめてみましょう。
- メーカー業界のどの分野に当てはまるか
- 主な商品・製品
- 素材・部品・完成品のどれを作っているか
- BtoBとBtoCのどちらが中心か
- 主な顧客や販売先
- どの事業で売上や利益を得ているか
- 独自の技術や強み
- 国内と海外の売上構成
- 研究所・工場・営業所の場所
- 主な職種と仕事内容
- 採用コースと応募条件
- 配属方法と勤務地
- 今後力を入れる商品や事業
- 競合企業との違い
企業ごとに同じ項目で整理すると、商品名や企業の知名度だけではわからない違いを比べやすくなります。
業界研究の進め方については、次の記事も参考にしてみてください。
志望動機がうまく書けない、企業の違いがわからない――そういった悩みの背景には、業界に対する理解不足があることが少なくありません。今回は『就活生向けの業界研究のやり方とコツ』を紹介します!就職活動を始めるにあたって、まず取り組んでおきたい[…]
業界研究を始めると、「調べた内容がうまく整理できない」「業界ごとの違いが頭の中で混ざってしまう」と感じることがあります。就活では、情報を集めるだけでなく、あとから見返しやすい形で整理しておくことがとても大切です。今回は、『業界研究[…]
メーカーの志望動機を考えるポイント
メーカーの志望動機では、「商品が好きだから」という気持ちから、もう少し具体的に考えてみましょう。
次の順番で整理すると、志望理由を作りやすくなります。
- どのような商品や技術に興味があるか
- その商品を通して、誰にどのような価値を届けたいか
- メーカーのどの仕事に関わりたいか
- 同じ分野の中で、なぜその企業なのか
- 自分の経験や強みをどのように生かしたいか
メーカー業界では、次のような志望理由が考えられます。
- 身近な商品を通して人の生活を豊かにしたい
- 新しい技術や製品を生み出したい
- 素材や部品を通して幅広い産業を支えたい
- 日本のものづくりを海外へ広げたい
- 環境に配慮した製品を作りたい
- 顧客と一緒に課題を解決する製品を開発したい
- 工場の生産方法をよりよくしたい
商品への興味だけでなく、企業の技術、顧客、仕事内容までつなげると、その企業を選ぶ理由が伝わりやすくなります。
メーカー業界についてよくある質問
文系でもメーカーに就職できる?
メーカーには、文系の学生が応募できる職種も多くあります。
営業、企画、マーケティング、購買、人事、経理など、さまざまな仕事があります。
企業によって募集職種や採用コースが異なるため、採用ページで応募条件を確認してみましょう。
メーカーでは理系の方が有利?
研究、開発、設計など、大学での専攻を生かせる技術系職種では、理系の知識が必要になることがあります。
一方、メーカーには文系・理系を問わず応募できる職種もあります。
学部だけで考えるのではなく、興味のある仕事内容と応募条件を確認することが大切です。
BtoBメーカーはどうやって探せばよい?
身近な商品の原材料や部品から調べると、BtoBメーカーを見つけやすくなります。
たとえば、自動車に興味がある場合は、完成車メーカーだけでなく、次のような企業も調べてみましょう。
- 鉄鋼・化学素材メーカー
- タイヤメーカー
- 自動車部品メーカー
- 半導体・電子部品メーカー
- 電池メーカー
- 生産設備メーカー
業界地図、合同説明会、就活サービスなどを使って探す方法もあります。
メーカーと商社の違いは?
メーカーは、自社の商品や製品を企画・開発・製造する企業です。
商社は、メーカーなどから商品を仕入れて販売したり、必要な企業同士をつないだりします。
メーカーにも営業や物流の仕事があり、商社が商品開発や事業投資を行うこともあるため、企業によって事業が重なる場合もあります。
自社で何を作っているのか、取引の中でどのような役割を担っているのかを確認してみましょう。
メーカーを選ぶときは商品だけを見ればよい?
好きな商品から企業に興味を持つことは、業界研究を始めるきっかけになります。
その後は、主力事業、顧客、仕事内容、勤務地なども見てみましょう。
普段知っている商品とは別の事業が会社の売上を支えていたり、希望する職種では商品と直接関わらなかったりすることもあります。
メーカーで役立つ資格は?
応募するために必ず必要な資格は、企業や職種によって異なります。
興味のある仕事に応じて、次のような資格や学習が役立つことがあります。
- TOEICなどの語学資格
- 日商簿記検定
- 品質管理検定
- 知的財産管理技能検定
- ITパスポート試験
- 危険物取扱者
- CADに関する資格
資格だけを増やすのではなく、希望する職種でどのような知識が使われているのかを調べてから選んでみましょう。
メーカー業界は商品が作られるまでの流れから調べよう
メーカー業界は、食品、化粧品、医薬品、化学、機械、電機、自動車など、さまざまな分野で構成されています。
身近な完成品を作る企業だけでなく、その材料や部品、生産設備を作る企業も、ものづくりには欠かせない存在です。
メーカーを調べるときは、次の点を確認してみましょう。
- どのような商品や製品を作っているか
- 素材・部品・完成品のどれを扱っているか
- BtoBとBtoCのどちらが中心か
- 誰を主な顧客としているか
- どのような技術やブランドに強みがあるか
- 商品が作られるまでのどの仕事に関われるか
- 研究所や工場など、どこで働く可能性があるか
最初は好きな商品や身近な企業から調べても大丈夫です。
そこから素材、部品、機械などへ調べる範囲を広げると、これまで知らなかったメーカーや仕事に出会えます。
気になる企業を見つけたら、公式サイトや採用ページ、製品ページ、決算説明資料などを見ながら、企業ごとの違いを比べてみてください。