就活で人気の業界として、よく名前が挙がる「商社業界」。
海外を舞台に働くイメージを持っている人も多いかもしれませんが、商社の仕事は商品を輸出入することだけではありません。
商品の仕入れや販売、物流の手配、企業への事業投資、新しい事業の立ち上げなど、さまざまな形で企業同士をつないでいます。
また、商社には幅広い商品や事業を扱う総合商社と、食品、化学品、機械などの特定分野に強みを持つ専門商社があります。
この記事では、商社業界の仕組みや総合商社・専門商社の違い、主な仕事内容、企業を比較するときのポイントについて紹介します。
商社の役割を知り、自分が興味を持てる商品や事業、働き方を探してみましょう。
- 1 商社業界とは?
- 2 商社と卸売業の違い
- 3 商社が持つ主な機能
- 4 商社のトレードと事業投資の違い
- 5 総合商社と専門商社の違い
- 6 総合商社とは?
- 7 専門商社とは?
- 8 専門商社の主な分野
- 9 食品専門商社
- 10 鉄鋼・金属専門商社
- 11 化学品専門商社
- 12 機械専門商社
- 13 半導体・電子部品専門商社
- 14 繊維・アパレル専門商社
- 15 商社の取引の流れ
- 16 商社はどのように利益を得ている?
- 17 商社業界の主な職種
- 18 商社業界ではどのような人が活躍している?
- 19 文系・理系のどちらでも商社を目指せる?
- 20 商社業界のこれから
- 21 商社を比較するときのポイント
- 22 商社の企業探しには就活サービスも活用してみよう
- 23 商社の企業研究で確認したい項目
- 24 商社の志望動機を考えるポイント
- 25 商社業界についてよくある質問
- 26 商社業界は扱う商品と事業の作り方から調べよう
- 27 参考資料
商社業界とは?
商社は、商品を仕入れて販売したり、国内外の企業同士をつないだりする会社です。
たとえば、海外から食品の原料を輸入して国内の食品メーカーへ販売したり、日本のメーカーが作った機械を海外企業へ届けたりしています。
商品の売り手と買い手を見つけるだけでなく、取引に必要な情報収集、物流、保険、金融、契約などをまとめて支えることも商社の役割です。
商社が扱う商品には、次のようなものがあります。
- 食品・飲料
- 繊維・衣料品
- 鉄鋼・金属
- 化学品
- エネルギー・資源
- 自動車・機械
- 半導体・電子部品
- 医薬品・医療機器
- 住宅・建材
- 生活用品
商社の中には、商品を取り扱うだけでなく、発電所、農場、工場、小売店などの運営に関わる企業もあります。
そのため、商社は「商品を右から左へ流す会社」というよりも、企業や商品、情報、資金を組み合わせてビジネスを作る会社と考えるとわかりやすいです。
商社と卸売業の違い
商社と似た言葉に「卸売業」があります。
どちらも、メーカーなどから商品を仕入れ、小売店やほかの企業へ販売する役割を持っています。
一般的には、商品の仕入れと販売を中心に行う事業を卸売業、その中でも海外取引や事業投資、金融、情報収集など、幅広い機能を持つ企業を商社と呼ぶことが多いです。
| 項目 | 商社 | 卸売業 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 取引、物流、金融、情報提供、事業投資など | 商品を仕入れて小売店や企業へ販売する |
| 取引地域 | 国内外に広がる企業が多い | 国内中心の企業も多い |
| 扱う事業 | 商品取引から事業経営まで幅広い | 商品の仕入れ・販売が中心 |
ただし、商社と卸売会社を明確に分ける基準があるわけではありません。
企業名や業界分類だけでなく、実際にどのような商品やサービスを扱っているのかを確認してみましょう。
商社が持つ主な機能
商社は、商品を仕入れて販売するだけでなく、取引を支えるさまざまな機能を持っています。
主な機能は、次のとおりです。
- 商品を仕入れて販売するトレード
- 市場や取引先に関する情報収集
- 輸送・保管などの物流管理
- 代金の支払いや資金調達に関する金融機能
- 価格や為替などの変化に対応するリスク管理
- 企業への出資や事業投資
- 新しい商品や事業の企画
- 複数の企業をつなぐプロジェクト管理
これらの機能を組み合わせることで、一社だけでは進めにくい大きな取引やプロジェクトを実現しています。
トレード
トレードは、商品を仕入れ、必要としている企業へ販売する仕事です。
商社は、仕入れ先と販売先の間に入り、価格、数量、納期、品質などを調整します。
海外取引の場合は、輸送方法、通関、為替、保険なども考えながら取引を進めます。
情報収集・市場開拓
商社は、世界各地の拠点や取引先から、市場、商品、技術、法律などに関する情報を集めています。
集めた情報をもとに、今後需要が増えそうな商品を探したり、新しい販売先や仕入れ先を開拓したりします。
物流
商品を必要な場所へ、必要な時期に届けるため、輸送や保管の方法を考えます。
船、飛行機、トラック、鉄道などを組み合わせ、商品の特徴や納期に合った物流を作ることも商社の仕事です。
金融
大きな取引では、商品が届くまでに長い期間がかかったり、多額の資金が必要になったりします。
商社が代金の支払いや回収を調整したり、銀行や投資家と協力して事業に必要な資金を集めたりすることもあります。
リスク管理
海外との取引では、商品の価格や為替、輸送状況などが変化します。
商社では、複数の仕入れ先を確保したり、為替予約や保険を活用したりしながら、取引を安定して続けられる仕組みを作っています。
事業投資
商社は、成長が期待できる企業や事業へ出資し、事業の運営に関わることがあります。
資金を出すだけでなく、商社が持つ販売網、物流、取引先、経営の知識などを生かし、事業の成長を支えます。
商社のトレードと事業投資の違い
現在の商社を理解するうえで大切なのが、「トレード」と「事業投資」の違いです。
| 項目 | トレード | 事業投資 |
|---|---|---|
| 主な内容 | 商品を仕入れて販売する | 企業や事業へ出資し、経営に関わる |
| 商社の役割 | 売り手と買い手をつなぎ、取引を支える | 事業を作り、長期的な成長を支える |
| 主な収益 | 仕入れ価格と販売価格の差、手数料など | 配当、事業利益、企業価値の向上など |
| 関わる期間 | 一つひとつの取引を継続して積み重ねる | 中長期的に事業運営へ関わる |
トレードを通して顧客や市場について理解し、そこから新しい事業へ投資するケースもあります。
反対に、出資した企業の商品を、商社の販売網を使って広げることもあります。
トレードと事業投資は別々のものではなく、互いを組み合わせながら事業を成長させています。
総合商社と専門商社の違い
商社は、大きく「総合商社」と「専門商社」に分けられます。
| 項目 | 総合商社 | 専門商社 |
|---|---|---|
| 扱う分野 | 資源、食品、機械、化学品など幅広い | 食品、鉄鋼、化学品など特定分野が中心 |
| 主な強み | 幅広い事業と海外ネットワーク | 特定分野の専門知識と取引先との関係 |
| 事業規模 | 大規模な事業投資や海外プロジェクトも多い | 特定市場に深く入り込んだ事業が多い |
| 主な働き方 | 複数分野や国内外の事業に関わる可能性がある | 特定の商品・業界の専門性を深めやすい |
どちらも企業同士をつなぐ役割を持っていますが、扱う分野の広さや、企業の強みが異なります。
総合商社とは?
総合商社は、食品、金属、エネルギー、化学品、機械など、幅広い商品や事業を扱う商社です。
国内外に多くの拠点やグループ会社を持ち、商品取引だけでなく、企業への出資や事業経営にも関わっています。
総合商社が扱う主な分野
- 金属・鉄鋼
- 石油・天然ガス・電力
- 化学品
- 自動車・航空・船舶
- 産業機械・インフラ
- 食品・農業
- 繊維・生活用品
- 小売・流通
- 不動産・都市開発
- 情報通信・デジタル
- 金融・リース
- ヘルスケア
総合商社では、同じ会社の中でも、配属される部門によって扱う商品や顧客、仕事内容が大きく変わります。
たとえば、食品部門では農場や食品メーカー、小売企業と関わり、金属部門では鉱山会社、素材メーカー、自動車メーカーなどと取引します。
総合商社の特徴
- 取り扱う商品・事業の範囲が広い
- 海外に多くの拠点や事業会社がある
- 大規模な事業投資やプロジェクトを行う
- 複数の企業や金融機関をまとめて事業を進める
- 商品取引と事業経営の両方に関わる
- 部門を越えて事業を組み合わせることがある
総合商社を比較するときのポイント
- どの事業分野で利益を得ているか
- 資源分野と非資源分野のバランス
- 今後力を入れようとしている事業
- 主な海外地域や事業拠点
- 事業投資の方針
- グループ企業の構成
- 配属や異動の仕組み
総合商社という名前だけでまとめず、企業ごとの得意分野や事業構成を比べてみましょう。
専門商社とは?
専門商社は、食品、化学品、鉄鋼、機械など、特定の商品や業界を中心に扱う商社です。
扱う分野を絞ることで、商品に関する専門知識や、メーカー・販売先との強い関係を築いています。
専門商社は、企業の成り立ちによって次のように分けられることもあります。
- 独立系専門商社
- メーカー系専門商社
- 総合商社系専門商社
独立系専門商社
特定のメーカーや総合商社のグループに属さず、独自に仕入れ先や販売先を開拓している企業です。
複数のメーカーの商品を組み合わせ、顧客に合った提案を行う企業もあります。
メーカー系専門商社
メーカーの販売部門などをもとに作られた専門商社です。
グループメーカーの商品や技術に詳しく、国内外での販売を支えています。
総合商社系専門商社
総合商社のグループに属し、食品、鉄鋼、化学品など、特定分野を専門に扱う企業です。
総合商社の海外ネットワークや情報力を活用しながら、専門分野の事業を行っています。
専門商社の特徴
- 特定の商品や業界に詳しくなれる
- メーカーや顧客との距離が近い
- 商品提案や新しい用途の開発に関われる
- 一人の担当者が幅広い業務を担うことがある
- 特定分野で海外取引を行う企業も多い
専門商社の主な分野
専門商社は、扱う商品によってさまざまな分野に分かれています。
ここでは、就活でよく見かける主な分野を紹介します。
| 分野 | 主に扱う商品 | 主な取引先 |
|---|---|---|
| 食品 | 食品、原料、農産物、水産物、飲料など | 食品メーカー、外食、小売など |
| 鉄鋼・金属 | 鋼材、非鉄金属、金属部品など | 自動車、建設、機械メーカーなど |
| 化学品 | 樹脂、化学原料、電子材料、医薬品原料など | 化学、電機、医薬品メーカーなど |
| 機械 | 産業機械、工作機械、設備など | 工場、メーカー、建設会社など |
| 半導体・電子部品 | 半導体、センサー、電子部品など | 電機、自動車、機械メーカーなど |
| 繊維・アパレル | 繊維原料、生地、衣料品、雑貨など | アパレル、小売、メーカーなど |
| 医薬品・医療 | 医薬品、医療機器、研究用製品など | 医療機関、薬局、製薬会社など |
| 建材・住宅設備 | 木材、建材、住宅設備、家具など | 建設会社、住宅メーカーなど |
食品専門商社
食品専門商社は、食品メーカー、小売店、外食企業などへ、食品や原料を提供する商社です。
国内の商品だけでなく、海外から農産物、水産物、食肉、加工食品などを輸入する企業もあります。
主に扱う商品
- 農産物
- 水産物
- 食肉
- 冷凍食品
- 加工食品
- 菓子・飲料
- 調味料
- 食品原料
- 業務用食品
商品の仕入れや販売だけでなく、メーカーと一緒に商品を企画したり、小売店へ売り場を提案したりすることもあります。
企業研究で見ておきたいポイント
- 家庭用と業務用のどちらが中心か
- 得意とする食品分野
- 輸入品と国内商品の割合
- 主な販売先
- 物流・冷蔵設備の特徴
- 商品開発や小売支援への取り組み
鉄鋼・金属専門商社
鉄鋼・金属専門商社は、鉄鋼、アルミニウム、銅などの素材を仕入れ、自動車、建設、機械などの企業へ提供しています。
素材をそのまま販売するだけでなく、顧客が使いやすい形へ加工して届ける企業もあります。
主に扱う商品
- 鋼板
- 鋼管
- 建設用鋼材
- アルミニウム
- 銅
- 特殊金属
- 金属加工品
素材メーカーと完成品メーカーの間に入り、必要な種類、量、納期などを調整します。
企業研究で見ておきたいポイント
- 鉄鋼と非鉄金属のどちらが中心か
- 主な販売先の業界
- 加工・物流拠点を持っているか
- 国内と海外の取引比率
- メーカーとの関係
- リサイクルや環境関連事業
化学品専門商社
化学品専門商社は、化学メーカーが作った原料や素材を、電機、自動車、食品、医薬品などのメーカーへ提供しています。
顧客が求める性能に合う素材を探したり、メーカーと一緒に新しい材料の用途を考えたりする仕事もあります。
主に扱う商品
- 基礎化学品
- 樹脂・フィルム
- 塗料・接着剤
- 電子材料
- 電池材料
- 医薬品原料
- 食品添加物
- 化粧品原料
企業研究で見ておきたいポイント
- 得意とする素材や用途
- 主な顧客業界
- 国内外の仕入れ先
- 研究開発や技術支援を行っているか
- 自社製品を持っているか
- 環境に配慮した素材への取り組み
機械専門商社
機械専門商社は、工場や建設現場などで使われる機械や設備を販売する商社です。
完成した機械を届けるだけでなく、複数のメーカーの製品を組み合わせ、顧客の工場に合った設備を提案することもあります。
主に扱う商品
- 工作機械
- 産業用ロボット
- 製造設備
- 建設機械
- 検査装置
- 物流・搬送設備
- 環境・省エネ設備
設備の導入後に、点検、修理、部品交換などのサービスを行う企業もあります。
企業研究で見ておきたいポイント
- どの業界向けの機械に強いか
- 設備の提案や設計まで行っているか
- 販売後の保守・サービス
- 国内と海外の取引先
- 自動化や省エネルギーへの取り組み
- 技術職やエンジニアの有無
半導体・電子部品専門商社
半導体・電子部品専門商社は、半導体、センサー、電子部品などを、電機、自動車、機械メーカーへ提供しています。
部品を販売するだけでなく、顧客の製品に合う部品の選定や、技術的なサポートを行う企業もあります。
主に扱う商品
- 半導体
- 電子部品
- センサー
- 電源部品
- 通信部品
- 組み込み用ソフトウェア
- 製造・検査装置
企業研究で見ておきたいポイント
- 得意とする製品やメーカー
- 主な販売先の業界
- 技術サポートの内容
- 海外メーカーとの取引
- 自社で製品開発を行っているか
- 技術営業の仕事内容
繊維・アパレル専門商社
繊維・アパレル専門商社は、繊維原料、生地、衣料品、雑貨などを扱う商社です。
原料の仕入れから、商品の企画、生産する工場の手配、小売店への販売まで、幅広く関わる企業もあります。
主に扱う商品
- 繊維原料
- 糸・生地
- 衣料品
- スポーツ用品
- バッグ・雑貨
- インテリア用品
- 産業用繊維
アパレルブランドや小売企業から依頼を受け、商品の企画や生産を行うこともあります。
企業研究で見ておきたいポイント
- 原料・生地・完成品のどれが中心か
- 主なブランドや販売先
- 商品企画を行っているか
- 国内外の生産拠点
- 衣料品以外の事業
- 環境に配慮した素材や生産への取り組み
商社の取引の流れ
商社の取引では、商品を仕入れて販売するまでに、さまざまな業務があります。
一般的な流れは、次のとおりです。
- 市場や顧客のニーズを調べる
- 商品の仕入れ先を探す
- 販売先へ商品を提案する
- 価格・数量・納期などを交渉する
- 契約を結ぶ
- 輸送・保管の方法を決める
- 貿易や通関の手続きを行う
- 商品を販売先へ届ける
- 代金の支払い・回収を行う
- 次の取引や新しい商品を提案する
営業担当者だけですべてを行うわけではありません。
貿易事務、物流、財務、法務などの担当者と協力しながら、一つの取引を進めていきます。
商社はどのように利益を得ている?
商社の収益源は、商品の仕入れ価格と販売価格の差だけではありません。
企業によって、次のような方法で収益を得ています。
- 商品を仕入れて販売したときの利益
- 取引を仲介したときの手数料
- 物流・加工・保管などのサービス収益
- 出資した企業から受け取る配当
- グループ会社や事業会社から得る利益
- 不動産やインフラなどの事業収益
- 金融・リースなどのサービス収益
総合商社では、事業投資やグループ会社から得る利益が大きな割合を占める企業もあります。
専門商社でも、商品の販売だけでなく、加工、物流、自社製品の開発などへ事業を広げている企業があります。
商社業界の主な職種
商社には、顧客と直接関わる営業だけでなく、事業企画、貿易、物流、財務など、さまざまな職種があります。
営業
商社営業は、商品の仕入れ先と販売先をつなぎ、取引全体を進める仕事です。
主な仕事内容は、次のとおりです。
- 市場や顧客の情報を集める
- 新しい仕入れ先や販売先を探す
- 顧客へ商品やサービスを提案する
- 価格・数量・納期を交渉する
- メーカーや物流会社と調整する
- 契約や代金回収を管理する
- 新しい商品や事業を企画する
企業や担当商品によっては、海外出張や外国企業とのやり取りもあります。
事業企画・事業投資
市場や企業を調査し、新しい事業を考えたり、投資先を検討したりする仕事です。
出資した後は、事業会社の経営計画、販売、財務などを支えることもあります。
- 市場・業界の調査
- 新規事業の企画
- 投資先企業の分析
- 投資計画の作成
- 事業会社の経営支援
- ほかの企業との提携
貿易事務
海外との取引に必要な書類や手続きを担当します。
- 輸出入書類の作成
- 船や飛行機の手配
- 通関手続きの確認
- 納期の管理
- 海外取引先との連絡
- 代金決済の確認
営業担当者や物流会社、金融機関などと連絡を取りながら、商品が予定どおり届くように支えます。
物流・サプライチェーン管理
商品の輸送、保管、在庫などを管理する仕事です。
- 輸送方法の選定
- 倉庫や在庫の管理
- 納期・配送状況の確認
- 物流費の管理
- 仕入れから販売までの流れの改善
食品、化学品、大型機械など、商品の特徴に合った物流を考えます。
財務・経理
商社の取引や事業投資に必要なお金を管理します。
- 資金の調達
- 取引代金の管理
- 為替に関する管理
- 決算・会計
- 投資先の財務分析
- 海外拠点の資金管理
リスク管理
商社が行う取引や投資について、さまざまな面から確認する仕事です。
- 取引先の信用状況の確認
- 商品の価格変化の分析
- 為替や金利の管理
- 事業投資の分析
- 国や地域の情勢に関する調査
- 契約条件の確認
取引を長く安定して続けるために、営業や事業部門を支えます。
法務・コンプライアンス
国内外の契約や法律について確認し、事業を支える仕事です。
- 売買契約の確認
- 投資や事業提携に関する契約
- 各国の法律・規制の確認
- 社内ルールの整備
- 知的財産の管理
IT・デジタル
社内のシステムや、取引・事業に使うデジタルサービスを企画・運用する仕事です。
- 社内システムの企画・運用
- 物流・在庫管理のデジタル化
- データ分析
- AIを使った業務改善
- 新しいデジタル事業の企画
人事・総務
社員の採用、育成、配置などを通して会社全体を支えます。
- 新卒・中途採用
- 研修・人材育成
- 国内外の人員配置
- 海外赴任の支援
- 働く環境の整備
商社業界ではどのような人が活躍している?
商社では、商品を売る力だけでなく、取引先の話を聞き、多くの関係者と協力して仕事を進める力が役立ちます。
人と関わることが好きな人
商社の仕事では、仕入れ先、販売先、物流会社、金融機関など、さまざまな人と関わります。
相手の考えを聞きながら、よりよい方法を一緒に考えることが好きな人に向いています。
新しいことに興味を持てる人
商社では、市場、商品、技術、海外情勢など、幅広い情報を集めます。
知らない分野について調べたり、新しい商品や事業を考えたりすることを楽しめる人は、その好奇心を生かせます。
人と人の間に入って調整できる人
仕入れ先と販売先では、希望する価格や納期が異なることもあります。
それぞれの希望を聞き、両方にとって進めやすい方法を考える力が役立ちます。
チームで大きな仕事を進めたい人
商社の取引や事業投資は、一人だけで進めるものではありません。
営業、財務、法務、物流、海外拠点などと協力しながら、一つの事業を作り上げます。
幅広い仕事に挑戦したい人
商社では、商品の販売から事業企画、投資、経営支援まで、幅広い仕事に関わる機会があります。
一つの仕事だけでなく、さまざまな役割を経験しながら成長したい人にも合っています。
専門性を深めたい人
専門商社では、食品、化学、機械など、特定の商品や業界について詳しくなれます。
商品知識を深めながら、顧客へより具体的な提案をしたい人にもおすすめです。
文系・理系のどちらでも商社を目指せる?
商社では、文系・理系のどちらの学生も活躍しています。
総合職や営業職では、学部・学科を問わず募集している企業も多くあります。
文系の学びを生かしやすい仕事
- 営業
- 貿易・物流
- 事業企画
- 財務・経理
- 法務
- 人事
- マーケティング
理系の学びを生かしやすい仕事
- 技術営業
- 化学品・電子部品などの営業
- 設備・プラントの提案
- 商品開発
- データ分析
- IT・デジタル部門
- 新技術に関する事業企画
化学、機械、半導体、医療機器などの専門商社では、理系の知識を生かして顧客へ技術的な提案を行う仕事もあります。
学部だけで選択肢を決めず、扱う商品や職種の内容まで確認してみましょう。
商社業界のこれから
商社を取り巻く環境は、世界の経済や社会の変化とともに動いています。
近年は、商品の輸出入や販売に加えて、サプライチェーンの整備、環境関連事業、デジタル事業なども重要になっています。
サプライチェーンの強化
企業が商品を作り続けるためには、原材料や部品を安定して確保することが大切です。
商社では、仕入れ先を複数の国や地域に広げたり、物流や在庫の仕組みを整えたりしながら、安定した供給を支えています。
エネルギー・重要資源の確保
エネルギーや鉱物資源は、生活や産業に欠かせません。
商社は、資源の開発や調達、輸送、販売などに関わり、必要な場所へ安定して届ける役割を持っています。
電池や半導体に使われる鉱物など、新しい産業に必要な資源を確保する取り組みも進められています。
環境・エネルギー事業
商社では、再生可能エネルギー、省エネルギー、リサイクルなどの事業にも取り組んでいます。
- 太陽光・風力発電
- 水素・アンモニア
- 蓄電池
- 資源のリサイクル
- 環境に配慮した素材
- 森林・農業関連事業
エネルギー、メーカー、金融など、複数の企業をつなぎながら事業を進められることは、商社の強みの一つです。
DX・デジタル事業
商社では、商品の取引、在庫管理、物流などにデジタル技術を活用しています。
また、IT企業への出資や、データを活用した新しいサービスの開発を行う企業もあります。
- 需要や価格の予測
- 物流・在庫の管理
- オンライン取引サービス
- 工場・農場のデジタル化
- AIを使った業務改善
新興国との事業
人口や経済が成長している国では、電力、交通、通信、食品、医療など、さまざまな需要があります。
商社は、現地企業や日本企業と協力しながら、インフラや生活に関わる事業を進めています。
事業投資の広がり
商社では、商品を販売するだけでなく、今後の成長が期待できる企業や事業へ投資しています。
小売、ヘルスケア、デジタル、再生可能エネルギーなど、私たちの生活に近い分野へ事業を広げる企業もあります。
商社を比較するときのポイント
商社は、同じ業界に分類されていても、扱う商品や事業、得意な地域が異なります。
複数の企業を調べるときは、次の項目を比べてみましょう。
総合商社か専門商社か
- 幅広い分野や事業に関わりたい
- 大規模な事業投資や海外プロジェクトに興味がある
- 特定の商品・業界の専門性を深めたい
- メーカーや顧客に近い立場で提案したい
どちらがよいということではなく、自分がどのような商品や仕事に関わりたいかから考えてみましょう。
何を扱っている企業か
- 食品
- 鉄鋼・金属
- 化学品
- 機械
- 半導体・電子部品
- 繊維・衣料品
- 医薬品・医療機器
- エネルギー・資源
企業全体では幅広い商品を扱っていても、売上や利益の中心となる事業は異なります。
トレードと事業投資の割合
商品の仕入れ・販売を中心に行う企業と、企業への出資や事業運営にも力を入れている企業があります。
決算説明資料や事業紹介を見ながら、どのような方法で利益を得ているのか確認してみましょう。
主な取引先
- メーカー
- 小売店
- 外食企業
- 建設会社
- 医療機関
- 官公庁
- 海外企業
誰に商品やサービスを届けているのかを見ると、営業の仕事内容もイメージしやすくなります。
国内と海外の事業
- 主な取引地域
- 海外拠点の数と地域
- 海外売上の割合
- 海外赴任の可能性
- 国内営業と海外営業の違い
海外拠点が多い企業でも、すべての職種で海外勤務があるわけではありません。
希望する職種が、海外事業とどのように関わるのかまで確認してみましょう。
グループや親会社との関係
専門商社の場合は、メーカー系、総合商社系、独立系など、企業の成り立ちも確認してみましょう。
- 親会社の商品を中心に扱っているか
- 親会社以外の商品も扱っているか
- グループの海外ネットワークを活用しているか
- 独自の商品や販売先を持っているか
採用コースと配属方法
- 総合職・一般職などの採用区分
- 職種別採用か一括採用か
- 配属部門の決まり方
- 国内外の転勤
- グループ会社への出向
- 部門を越えた異動
商社では、配属される商品部門によって仕事内容が大きく変わることがあります。
配属方法や希望の伝え方も確認してみてください。
商社の企業探しには就活サービスも活用してみよう
商社業界には、知名度の高い総合商社だけでなく、食品、化学品、機械など、特定分野に強い専門商社もたくさんあります。
就活サイトやスカウト型の就活サービスを活用すると、自分ではまだ知らなかった専門商社や、興味のある商品を扱う企業を見つけやすくなります。
希望する業界や職種、勤務地などを登録しておくことで、自分の経験や専攻に興味を持った企業から案内が届くこともあります。
届いた求人やオファーを見ていると、「この商品にも商社が関わっているんだ」「こんな専門商社があるんだ」と、新しい企業を知るきっかけになります。
気になる企業が見つかったら、公式サイトや採用ページも確認しながら、企業研究を進めてみてください。
就活を進めるうえで、最初にチェックしておきたいのが就活サイトやアプリです。自分に合うサービスを早めに見つけておくと、企業探しがしやすくなったり、情報収集がスムーズになったり、就活全体を気持ちよく進めやすくなります。今回は『就[…]
商社の企業研究で確認したい項目
商社を調べるときは、次の項目を企業研究ノートなどにまとめてみましょう。
- 総合商社と専門商社のどちらか
- 主に扱っている商品・事業
- 主な仕入れ先と販売先
- 国内取引と海外取引の割合
- トレードと事業投資の割合
- どのような方法で収益を得ているか
- 得意としている国や地域
- 親会社やグループ企業との関係
- 主な職種と仕事内容
- 採用コースと配属方法
- 転勤・海外勤務の可能性
- 研修や語学学習の支援
- 今後力を入れる商品や事業
- 競合企業との違い
企業ごとに同じ項目で整理すると、扱う商品の違いや、企業ごとの強みを比較しやすくなります。
業界研究の進め方については、次の記事も参考にしてみてください。
志望動機がうまく書けない、企業の違いがわからない――そういった悩みの背景には、業界に対する理解不足があることが少なくありません。今回は『就活生向けの業界研究のやり方とコツ』を紹介します!就職活動を始めるにあたって、まず取り組んでおきたい[…]
業界研究を始めると、「調べた内容がうまく整理できない」「業界ごとの違いが頭の中で混ざってしまう」と感じることがあります。就活では、情報を集めるだけでなく、あとから見返しやすい形で整理しておくことがとても大切です。今回は、『業界研究[…]
商社の志望動機を考えるポイント
商社の志望動機では、「海外で働きたい」「幅広い仕事がしたい」という気持ちから、もう少し具体的に考えてみましょう。
次の順番で整理すると、志望理由を作りやすくなります。
- どのような商品や業界に興味があるか
- その商品を通して、誰を支えたいか
- 商社のどの機能に魅力を感じているか
- 総合商社と専門商社のどちらを志望するか
- 同じ分野の中で、なぜその企業なのか
- 自分の経験や強みをどのように生かしたいか
商社業界では、次のような志望理由が考えられます。
- 企業同士をつなぎ、新しい取引を作りたい
- 食品や資源を安定して届ける仕事がしたい
- 特定の商品に詳しくなり、顧客へ提案したい
- 日本の商品や技術を海外へ広げたい
- 海外の商品や技術を日本へ届けたい
- 複数の企業をつないで新しい事業を作りたい
- 環境やエネルギーに関する事業に関わりたい
海外への興味だけでなく、扱いたい商品、関わりたい顧客、商社だからこそできる仕事までつなげることが大切です。
商社業界についてよくある質問
商社では英語が必要?
海外の仕入れ先や販売先を担当する仕事では、英語を使う機会があります。
一方で、国内取引を中心とする部門や、国内の企業を担当する仕事もあります。
企業や配属先によって英語を使う頻度は異なるため、主な取引地域や仕事内容を確認してみましょう。
語学力に加えて、相手の話を聞く力や、商品・業界について理解する力も大切です。
海外勤務は多い?
海外に多くの拠点を持つ総合商社や専門商社では、海外勤務の機会があります。
ただし、入社後すぐに海外へ配属されるとは限りません。
国内で商品や取引について経験を積んだ後に、海外拠点で働くケースもあります。
商社とメーカーの営業は何が違う?
メーカー営業は、主に自社が作った商品や製品を販売します。
商社営業は、複数のメーカーの商品を扱ったり、顧客の希望に合う仕入れ先を探したりします。
| 項目 | 商社営業 | メーカー営業 |
|---|---|---|
| 扱う商品 | 複数のメーカーの商品を扱うことがある | 自社の商品が中心 |
| 主な役割 | 仕入れ先と販売先をつなぎ、取引を作る | 自社商品の特徴を伝え、販売する |
| 提案方法 | 商品や企業を組み合わせて提案する | 自社の商品・技術をもとに提案する |
商社の中には、自社製品を開発する企業もあるため、実際の事業内容も確認してみましょう。
専門商社はどのように探せばよい?
興味のある商品やメーカーから調べていくと、専門商社を見つけやすくなります。
たとえば、化粧品に興味がある場合は、化粧品メーカーだけでなく、次のような企業も調べてみましょう。
- 化粧品原料を扱う商社
- 容器や包装を扱う商社
- 化粧品を小売店へ届ける商社
- 海外化粧品を輸入する商社
業界地図や合同説明会、就活サービスから探す方法もあります。
商社には営業以外の仕事もある?
商社には、営業以外にもさまざまな仕事があります。
- 事業企画・事業投資
- 貿易事務
- 物流・サプライチェーン管理
- 財務・経理
- リスク管理
- 法務
- IT・デジタル
- 人事・総務
企業によっては総合職として採用された後に配属が決まるため、希望する職種に進む方法も確認してみてください。
商社で役立つ資格は?
商社への応募に必ず必要な資格は、企業や職種によって異なります。
興味のある仕事に応じて、次のような資格や学習が役立つことがあります。
- TOEICなどの語学資格
- 貿易実務検定
- 日商簿記検定
- 通関士
- ビジネス実務法務検定
- ITパスポート試験
資格だけでなく、興味のある商品や業界について調べることも、商社の企業研究につながります。
商社業界は扱う商品と事業の作り方から調べよう
商社は、商品を仕入れて販売するだけでなく、物流、金融、情報収集、事業投資などを通して、企業同士をつないでいます。
幅広い商品や事業を扱う総合商社と、特定の商品や業界に強い専門商社では、仕事の特徴や身につけられる専門性も異なります。
商社を調べるときは、次の点を確認してみましょう。
- 総合商社と専門商社のどちらか
- どのような商品や事業を扱っているか
- 主な仕入れ先と販売先はどこか
- トレードと事業投資のどちらに力を入れているか
- 国内と海外のどちらで事業を行っているか
- どのような職種があるか
- 入社後にどのような専門性を身につけられるか
最初は、食品、化学品、機械など、自分が興味を持てる商品から調べても大丈夫です。
その商品が作られて消費者や企業へ届くまでの流れを追っていくと、商社がどのような役割を持っているのかが見えやすくなります。
気になる企業を見つけたら、公式サイトや採用ページ、事業紹介、決算説明資料などを見ながら、企業ごとの違いを比べてみてください。